冬用タイヤ規制とチェーン規制の違い|スタッドレスで通れる?

チェーン規制は、スタッドレスタイヤを履いていてもタイヤチェーンを付けていないと通れない規制です。冬用タイヤ規制との違い、道路法に基づく規制に違反した場合の罰則(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)、積雪・凍結路で滑り止めをしないときの反則金(普通車6,000円)、県で違うバイクの扱いを解説します。
1. 冬用タイヤ規制とチェーン規制、何が違う?
先に結論を書くと、「冬用タイヤ規制」は冬用タイヤかタイヤチェーンのどちらかがあれば通れる規制で1、「チェーン規制」はスタッドレスタイヤを履いていてもタイヤチェーンを付けていなければ通れない規制です2。名前が似ているので混同しやすいのですが、求められる装備がまったく違います。
| 規制 | 通れる車 | スタッドレスだけで通れる? |
|---|---|---|
| 冬用タイヤ規制 | 冬用タイヤ(スタッドレスタイヤなど)か、タイヤチェーンなどの滑り止め装置を付けた車1 | 通れる(全車輪に付けている場合。必要な装置は都道府県で異なる)1 |
| チェーン規制 | タイヤチェーンを付けた車だけ2 | 通れない。4WD車も同じ2 |
チェーン規制が行われるのは、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような、異例の降雪があるときです2。めったに出ない規制ですが、出たらスタッドレスタイヤだけでは通れない、と覚えておくと混乱しません。
2. 冬用タイヤ規制で通れるタイヤの条件
タイヤの側面の表示を確認する
NEXCO西日本の案内では、冬用タイヤ規制の区間を走るときは、側面にスタッドレス表記(国内表記)があるタイヤか、スノーフレークマーク(国際表記)があるタイヤを、全車輪に付けるよう求めています1。ただし、装着が必要な装置は都道府県によって異なるとも書かれています1。走る地域の案内もあわせて確認しておくと安心です。
気をつけたいのがオールシーズンタイヤです。国土交通省関東地方整備局などは、ノーマルタイヤだけでなく、スノーフレークマークのないオールシーズンタイヤも、車両の滞留や通行止めを引き起こす可能性があると注意を呼びかけています12。「オールシーズン」という名前だけで判断せず、側面のマークを見てください。

溝の深さにも目安がある
スタッドレスタイヤは、溝が残っていれば冬用タイヤとして使えるわけではありません。JATMAは、溝の深さが新品時の50%未満になったタイヤは冬用タイヤとして使わないよう呼びかけていて、溝の中にある「プラットホーム」という目印が露出しているかどうかで判断できるとしています11。
ちなみに、50%という数字は業界団体の目安です。都道府県の規則では書き方が一律ではなく、宮城県や福井県のように「50パーセント以上摩耗していないもの」と定める県もあれば、奈良県のように「突出部が摩耗していないもの」、島根県のように「効果限界線以上に磨滅していないもの」と定める県もあります11。タイヤの法定の溝の基準については「タイヤ交換時期の見極め方」で解説しています。
3. チェーン規制とは?スタッドレスでも通れない理由
2018年に始まった規制
チェーン規制は、2018年11月1日に国土交通省の冬期道路交通確保対策検討委員会が「大雪時にはチェーン規制を実施すべき」と示したことを受けて導入されました14。同じ年の12月14日には、規制を示す「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識(番号310の3)が新設されています4。
実施されるのは、急な上り下りがある峠など、過去に雪で立ち往生や通行止めが起きた区間のうち、チェーンを着けたり外したりできる場所や、待機できる場所がある区間です。規制区間の手前では、チェーンを付けているかが確認されます2。具体的な区間は道路管理者が発表するので、冬に峠道を通る予定があれば事前に調べておくのが確実です。

スタッドレスタイヤ・4WD車でもチェーンが必要
国土交通省のQ&Aでは、スタッドレスタイヤを付けた車でも大雪のときには立ち往生することがあるため、チェーン規制中はタイヤチェーンをしていない車は通れないと説明しています2。4WD車も対象です。同じQ&Aは、大雪のときの峠などでは4WD車は重量が大きく、下り坂で急ブレーキをかけたときに止まるまでの距離が長くなることを理由に挙げています2。
調べてみて意外だったのが、この4WDの扱いです。雪道に強いイメージがありますが、国土交通省が挙げている理由は登る力ではなく「止まるまでの距離」でした。なるほどと感じた点です。
使えるチェーンと付ける位置
使えるのは、自動車用品店などで売られているタイヤチェーン(金属チェーン、ウレタン・ゴムチェーン、布製のカバータイプ)です。薬剤を吹き付けるスプレー式では、チェーン規制中は通れません3。チェーンは駆動輪に付けるのが基本で、国土交通省のQ&Aの図では、前輪駆動車は前輪、後輪駆動車は後輪、4WD車は前輪または後輪とされています2。また、4章で紹介する積雪・凍結路の滑り止めについての都道府県の規則にも、付ける位置を定めているものがあり、たとえば長野県は「両側の後輪(前輪駆動のものは前輪)」としています11。自分の車の駆動方式と、取扱説明書の指定も確認しておきましょう。
チェーン規制の区間を通るときの流れ
- 出発前に、最新の気象情報と道路情報で規制や通行止めが出ていないか確認する
- スプレー式ではなく、タイヤチェーンを車に積んでおく
- 規制区間の手前の着脱できる場所で、駆動輪にチェーンを付ける
- 区間手前での装着確認を受けてから通行する
もうひとつ覚えておきたいのが「予防的通行止め」です。大雪のおそれがあるときには、予防的に通行止めが行われることがあります12。通行止めになれば、チェーンを付けていても通れません。チェーンさえあれば必ず通れる、というわけではない点に注意してください。
違反したときの罰則
道路管理者が道路法第46条第1項に基づいて行うチェーン規制の場合5、その規制に違反して通行すると、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(道路法第103条第3号)7。拘禁刑も罰金も、刑法で定められた刑罰(刑事罰)です15。
ここで混同しやすいのが、いわゆる青切符の「反則金」です。反則金は道路交通法の「反則行為」だけに使われる制度で、道路法の違反はこれに当たりません8。つまり、道路法に基づくチェーン規制の違反には、反則金を納めれば手続きが終わるという仕組みがなく、刑事手続の対象になります。「スピード違反の青切符と同じようなもの」と考えないようにしてください。
一方で、同じ標識は、公安委員会が道路交通法に基づいて行う通行禁止にも使われます68。その場合は根拠となる法律と罰則が変わるため、ここでは道路法に基づく規制の罰則だけを紹介しています。
4. 規制が出ていなくても:積雪・凍結路の滑り止め義務
都道府県の規則で決まっている
雪道で滑り止めの措置をとる義務は、道路交通法第71条第6号に基づいて、都道府県の公安委員会が規則で定めています8。たとえば新潟県では、積雪や凍結で滑るおそれのある道路で滑り止めの措置をとることが、新潟県道路交通法施行細則で定められています10。JATMAの取りまとめによると、こうした規定は沖縄県を除く46都道府県にあります(2026年8月現在)11。
大事なのは、この義務は道路の状態(積雪や凍結など)で決まり、冬用タイヤ規制やチェーン規制が出ているかどうかとは別だという点です。条件の書き方は県によって違います。JATMAの取りまとめによると、東京都の規則では「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路」とされ、神奈川県の規則のように対象を「積雪の場所」に限っている県もあります11。また京都府の規則は、凍結している道路ではスノータイヤを滑り止めの措置から除いています11。冬用タイヤを履いていれば、どの県のどんな路面でも義務を果たせる、とは言い切れないわけです。
罰則と反則金
この義務に違反すると、5万円以下の罰金の対象になります(道路交通法第120条第1項第10号)8。この違反は道路交通法の「反則行為」にも含まれていて8、反則金(いわゆる青切符)の額は次のとおりです9。
| 区分 | 含まれる車 | 反則金 |
|---|---|---|
| 大型車 | 大型・中型・準中型自動車、大型特殊自動車など | 7,000円 |
| 普通車 | 普通自動車 | 6,000円 |
| 二輪車 | 大型自動二輪車・普通自動二輪車 | 6,000円 |
| 原付等 | 小型特殊自動車、原動機付自転車など | 5,000円 |
この違反(公安委員会遵守事項違反)には違反点数が付きません913。そのため免許の累積点数には影響しませんが、軽い違反というわけではありません。通告を受けて期限内に反則金を納めれば、その違反について起訴されることはありません。逆に、期限内に納めなかった場合は、起訴されて5万円以下の罰金が科されることがあります8。また、無免許や酒気帯びなどで運転していた場合や、その違反で交通事故を起こした場合などは、そもそも反則金の制度の対象外です8。
5. バイク・原付は?都道府県で対象が違う
バイクに乗る人が一番迷うのがここだと思います。積雪・凍結路の滑り止め義務の対象になる車は、都道府県によって違います11。
- 二輪を対象から外している県: 茨城県・岐阜県・長野県など(「自動車(二輪のものを除く。)」)
- 三輪以上の自動車に限っている県: 宮城県・神奈川県
- 原動機付自転車も対象に含めている道県: 北海道・東京都・福井県など
つまり、同じバイクでも、走る県によって義務の有無が変わります。「バイクは必ず対象」とも「バイクは対象外」とも一律には言えません。高速道路の冬用タイヤ規制やチェーン規制で二輪車がどう扱われるかは、今回調べた国土交通省やNEXCOの資料には記載がなく、確認できませんでした。冬にバイクで出かけるときは、走る地域の県警や道路管理者の案内を確認してください。バイクの消耗品の点検は「バイクの消耗品交換時期ガイド」もあわせてどうぞ。
6. 冬が来る前にやっておきたい準備
雪が降ってから慌てないように、履き替えの前にスタッドレスタイヤの溝とプラットホームを確認しておきましょう11。去年のタイヤをそのまま使うつもりでも、溝が減っていれば冬用タイヤとしては心もとない状態かもしれません。

チェーンを持っている人は、乾いた場所で一度付け外しを練習しておくと、いざというときに慌てずに済みます。寒い時期はバッテリーも弱りやすいので、「バッテリー上がりの予兆と寿命の見極め方」も参考になると思います。
履き替えの時期は毎年やってくるのに、意外と忘れがちです。Garage mgr(ガレージマネージャー)では、タイヤの履き替え予定日を任意の期日として登録し、カレンダーに追加しておけます。通知はカレンダーアプリから届くので、「気づいたら初雪だった」を防ぎやすくなります。
よくある質問
よくある質問
Q.スタッドレスタイヤを履いていればチェーン規制の区間も通れる?
Q.オールシーズンタイヤで冬用タイヤ規制の区間は通れる?
Q.チェーン規制を守らずに通るとどうなる?
Q.雪道をノーマルタイヤで走ると反則金はいくら?
Q.バイクにも雪道の滑り止め義務はある?
Q.スプレー式のチェーンでチェーン規制の区間を通れる?
タイヤの履き替え時期、カレンダーで忘れずに
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出典・参考情報
- [1]NEXCO西日本「冬用タイヤ」(冬用タイヤ規制の内容、スタッドレス表記・スノーフレークマークのタイヤを全車輪に装着、必要な装置は都道府県で異なる)
- [2]国土交通省「チェーン規制について」参考資料Q&A(実施時期・実施区間、スタッドレスタイヤ・4WD車も規制対象、駆動輪への装着が基本、4WD車は前輪または後輪)
- [3]国土交通省「雪防災(タイヤチェーン)」(使えるチェーンの種類、スプレー式では通行できない)
- [4]国土交通省 報道発表「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令の公布について」(2018年12月14日公布・施行、標識310の3の新設)
- [5]国土交通省「道路標識設置基準」3-6-3(道路法第46条第1項に基づくチェーン規制の標識設置)
- [6]e-Gov法令検索「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」別表第一(310の3は道路法第46条第1項に基づき、又は道路交通法第8条第1項の道路標識により通行を禁止)
- [7]e-Gov法令検索「道路法」第46条(通行の禁止又は制限)・第103条第3号(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)
- [8]e-Gov法令検索「道路交通法」第4条第1項・第71条第6号・第120条第1項第10号・第125条・第128条・第130条・別表第二(公安委員会による交通規制、公安委員会遵守事項、罰金5万円以下、反則行為と反則者の範囲、反則金納付の効果、反則金を納付しない場合の公訴提起)
- [9]e-Gov法令検索「道路交通法施行令」別表第二・別表第六(公安委員会遵守事項違反の反則金額と車両区分の定義、点数表に記載なし)
- [10]国土交通省北陸地方整備局 新潟国道事務所「降雪・積雪地域へ移動される方へ」(新潟県道路交通法施行細則による滑り止め措置の義務)
- [11]一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)「冬道走行とタイヤ」(各都道府県の滑り止め措置の規定〈2026年8月現在、沖縄県を除く〉、冬用タイヤの溝50%の目安とプラットホーム)
- [12]国土交通省関東地方整備局ほか「年末年始における車での移動の際のお願い」2025年12月26日(スノーフレークマークのないオールシーズンタイヤへの注意、予防的通行止め)
- [13]広島県警察「交通違反の点数一覧」(公安委員会遵守事項違反の点数欄は「-」)
- [14]国土交通省「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令について」別紙(2018年11月1日の第4回冬期道路交通確保対策検討委員会でチェーン規制の実施が示されたこと)
- [15]e-Gov法令検索「刑法」第9条(拘禁刑・罰金等を主刑とする規定)
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